Amazonは、AIエージェントがリアルタイム情報にアクセスできる「Web Search on Amazon Bedrock AgentCore」の一般提供を開始した。AWSの技術文書によれば、本サービスは学習データに依存するAIの「知識の鮮度」という課題を、AWS環境内で完結するマネージドサービスとして解消する。
生成AIの最大の弱点は、学習完了時点の知識に縛られる「情報の陳腐化」にある。株価やスポーツの結果、あるいは数時間前に発表された技術仕様など、刻々と変化する事象に対して、従来のAIエージェントは無力であった。この課題に対し、Amazonは「Web Search on Amazon Bedrock AgentCore」を投入し、企業が構築するAIエージェントにリアルタイムのWeb検索能力を標準装備させる方針を打ち出した。AWSの発表では、これによりAIエージェントは常に最新の情報に基づいて応答を生成できるようになるとしている。
本サービスの最大の特徴は、Model Context Protocol(MCP)に対応したフルマネージド型の検索機能である点だ。AWSの技術ブログによれば、企業は外部検索APIの契約やレート制限の管理、HTML解析といったインフラ構築コストを排除できる。Amazonは自社で運用する数十億ドキュメント規模のインデックスを直接提供し、知識グラフを統合することで事実関係の照合精度を高めている。検索結果はモデルのコンテキストウィンドウを圧迫しないよう、意味的に重要なスニペットのみを抽出して提供される。なお、本機能は2026年6月17日に一般提供が開始され、米国東部(バージニア北部)リージョンで1,000クエリあたり7ドルで利用可能である。
このWeb検索機能の導入は、インフラ運用担当者にとって大きな意味を持つ。従来、AIエージェントにリアルタイム情報を組み込むには、外部APIの選定、セキュリティ評価、データ連携基盤の構築といった複雑な作業が伴った。しかし、本サービスはAWS環境内でクエリと結果を処理するため、データ主権やコンプライアンス要件を重視する企業にとって、データ流出のリスクを大幅に低減できる。これにより、運用負荷を抑えつつ、より信頼性の高い自律型エージェントを構築し、ビジネスプロセスの高度な自動化を加速させることが可能となる。
本サービスが真に普及するかは、Amazonが構築したインデックスの「質」に依存すると見られる。検索エンジン市場で圧倒的なシェアを誇るGoogleやBingと比較して、Amazonのインデックスがどれほど網羅的かつ正確に情報を更新し続けられるかは未知数である。競合の動向として、Google Cloudの「Agent Search」やMicrosoft Azureの「Azure AI Foundry Agent Service」もWeb検索機能を提供しており、競争は激しい。企業は利便性と引き換えに、検索という重要なインテリジェンスの源泉をAmazonに委ねることになるため、AWSへのロックインに対する警戒感も無視できない論点となるだろう。