Googleは2026年7月30日、ロボットの高度な判断を司る新モデル「Gemini Robotics ER 2」を発表した。リアルタイムの映像理解と複数ロボットの連携を強化した本モデルは、物理環境におけるAIの自律性を新たな段階へと引き上げるものである。
従来のロボット制御は、個別のタスク特化型モデルや、計算負荷の高い「停止・思考」を繰り返すシステムに依存しており、リアルタイム性に課題があった。Googleの技術ブログによれば、Gemini Robotics ER 2はGemini Live APIを活用した双方向ストリーミングにより、低遅延での意思決定を実現している。これにより、ロボットは動画フィードを継続的に解析し、タスクの進捗を管理しながら、人間が介入せずとも自律的に修正動作を行うことが可能となった。
Googleの発表によれば、ER 2はタスクの進捗分類において57.4%の精度を達成し、モーメント検出では平均絶対誤差0.96秒という高い精度で特定のイベント発生時点を特定できる。この能力により、ロボットはタスク間の切り替えや失敗したステップの再試行を正確に行える。同モデルはGemini APIやGoogle AI Studioを通じて開発者向けに公開されており、Boston DynamicsのSpotロボットとの統合もデモンストレーションされている。
Gemini Robotics ER 2は、異なる種類のロボットが共通のセマンティック(意味論)を介して連携する「マルチロボット・コラボレーション」に対応している。これにより、製造や物流現場において、単一のロボットでは困難だった複雑なワークフローを複数のロボットが分担し、柔軟な自動化を実現できる。人間が介入せずとも現場で自律的にタスクを完遂する能力は、自動化経済を再構築する可能性を秘めている。
物理世界でのAIによる自律的な判断は、誤作動が人身事故や物的損害に直結するリスクを孕む。Googleの技術文書では安全性の向上が強調されており、人間が近くにいる場合にロボットを停止させ、エリアがクリアになった場合に自律的に作業を再開する機能が実装されている。しかし、複雑な環境下での「予期せぬ挙動」をどこまで制御できるのか、その検証プロセスは依然として課題である。多様なハードウェア環境での信頼性担保が、普及の鍵を握ると見られる。